2008年08月11日

井伊直弼役中村梅雀さんにインタビュー(NHK篤姫HPより)

井伊直弼役中村梅雀さんにインタビュー(NHK篤姫HPより)

大河ドラマ「篤姫」第32回「桜田門外の変」

井伊直弼というのは天才的に器用な方だったようですね。茶道においては“千利休以来”と賞され、居合道はご自分の流派を持っていた。さらに弓道、馬術、柔術、書道と文字通り“文武両道”そのすべてを深く極めたすごい人だったんです。

そうした人間の心から生まれた芸術、作法をわきまえているからこそ、人の欲の動きもよくわかるんですね。根回しとか心をつかむポイントに長けている一方、この人間はそろそろこういうふうになっていくだろうから、こちらから抑えていこうということもできたんです。

攘夷派をあえてシャットアウトするという策をとったのも、世の中の情勢を非常に冷静に客観的に見ていたからでね。全体のバランスをとっている余地はないと判断。まさに先を先を考えたうえで自分のなすべきことに挑んでいったということでしょう。人はなかなか悪役になれないものだと思うのですが、身を賭して世の中のために自分を犠牲にした人物だったと思います。


井伊を演じるうえで意識したのは、いわゆるステレオタイプの悪役にはしたくないということでした。ドラマを見ている方からすれば、何を考えているのかわからない。だけど、とにかくこいつは『いやだな』と思ってしまう。そんな得体の知れない奥深さというのかな。単に自分の思いをまとめているだけなのに、それがいやーな顔に見えてしまう。『ああ、また何かひどいことを考えているな』『こういう冷淡な男だから、かんたんに人を殺すんだ』と誤解されるような顔になっていけばいいなと。そういう意味では、僕の顔や声が甘くならないよう気をつけましたね。丸っこい顔をしているから(笑)、『愛きょうのある井伊じゃないの?』と思う人を、裏切りたいというのもありました。

ただ、やはり計算高く大きな圧力にも屈せず、孤独に近い存在であったこと。周りを先んじる頭脳、誰も論破できないものを持ち信念を貫いたこと。そういう人間に見えるかなという不安もあったんですよ。


最後に天璋院と茶室で対面したシーンは、とてもよかったですね。この女性には策略や嘘がないうえに、発想が非常に真っ当だということが、お茶をやっているうちにわかってくる。ああ、だから家定があれだけ信頼し、家茂も頼っているのだな。これはたいした女性だと納得する。短い言葉でも感じ合えるというのは日本人独特の精神交流ですからね。

井伊自身も天璋院に言った『おのれの役割を果たしたまで』という言葉がすべて。それを淡々と、しかし万感を込めて言った瞬間、お互いがわかり合えた。一生懸命に自分のつとめを果たしている人間同士だからこその心のふれあいがありました。

井伊は人を処罰する痛みや残酷さを十分に承知していたんだと思います。“桜田門外の変”が起きた日、警告の文が届いていたにも関わらず、警護の人間をつけずに出かけたのも、自分は殺されても仕方がないと思っていたからでしょう。その覚悟のもとに自分のつとめを果たした潔さは見事だと思います。

今回の“桜田門”で、もし見ている方に今までと違う余韻や、大切な人間を失ってしまったのかなという思いを感じていただけたらうれしいですね。そこで、井伊直弼という人物を伝えるという僕のつとめが終わるのかなと思っていますから。大河ドラマ 篤姫

大河ドラマ「篤姫」第32回「桜田門外の変」


posted by 江〜篤姫 at 05:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 篤姫・キャスト
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